骨折から1年。思いがけない“その後”利き手を骨折したあの日から、気づけば1年が経ちました。
「時間がたてば自然に治る」「元どおりの生活に戻れる」——そんなふうに思っていたけれど、現実は少し違っていました。
右手はまだ完全に回復しておらず、ぐー✊と握ることもできません。指も少し曲がったままで、まっすぐにしようとすると痛みが走ります。
「年齢的にも完全に戻らないかも」と心の中で思いながら、自分で指のぐっぱ運動やマッサージをしながら、地道に回復を目指す毎日です。

そして気づいたのが、歯みがきや栄養など、日々のケアが思いのほか難しくなっていたこと。
特に、片手でうまく磨けなかった歯は、1年でなんと虫歯が6本もできてしまいました。
今回は、私がこの1年で体験した「骨折のあとに起こった暮らしの変化」をお話しします。
同じように今、骨折中で不便さや不安を感じている方へ。
少しでも、これからの生活がラクになるヒントになれば嬉しいです。
① 歯みがきがうまくできず、虫歯が6本もできた話
ギプス中、歯をちゃんと磨けない日々

利き手を骨折してからしばらくは、歯みがきすらままならない日々が続きました。
最初のうちは左手でなんとか磨こうと頑張っていましたが、「ちゃんと磨けている感覚」がまったくなくて不安でした。
それまでは、4カ月に1回くらいのペースで歯医者に通い、ケアをしてもらっていたのですが、骨折してからはそれもストップ。
車の運転もできず、片手で出かけるのも一苦労で、つい先延ばしにしてしまったのです。
そしてその間、歯の表面や奥のほうで、知らないうちに“異変”が進行していたのでした。
歯医者の待合室でふと思ったこと
ようやく歯医者へ行けたのは、骨折からかなり経ってからのこと。
治療のため診察台で待ちながら、窓の外の景色をぼんやり眺めていたとき、ふと胸に込み上げるものがありました。
「もっと早く来ていたら、こんなに虫歯にならなかったかもしれない…」
虫歯はなんと6本もできていて、歯科の先生にも「急に増えたね」と驚かれてしまいました。
以前は虫歯ゼロだった私にとって、それはとてもショックな出来事。
でもそれ以上に、「ほうっておいたこと」が悔しかったのです。

だからこそ、この記事ではこれを読んでくださっている今まさに骨折中の方に伝えたいと思っています。
「歯医者は後回しにしないで」と。
「片手でできなくても、少しでもケアを」と。
電動歯ブラシ×小型ミラー+デンタルフロスでセルフケアを再スタート
とはいえ、骨折中に完璧なケアをするのは難しいもの。

私は途中から電動歯ブラシを導入しました。最初は力の加減が分からず戸惑いましたが、「片手でもしっかり磨けている感覚」が得られるようになってからは、ぐんと気持ちがラクになりました。
また、100均で買った小さな鏡を洗面台に置いて、磨いたあとに歯の表面を確認する習慣もつけました。
こういった小さな工夫が、「できない自分」を責める気持ちを和らげてくれたように思います。
ただ、電動歯ブラシだけでは歯と歯茎の間にある「歯周ポケット」までしっかり届いていなかったようです。

また、歯と歯の間の細かい汚れも残りがちで、いつもなら使っていたデンタルフロスや歯間ブラシを使う細かい動作が、左手ではどうしてもできませんでした。
「しばらくの間だけだから…」と使わずにいたのですが、それがのちの6本の虫歯という結果につながったのかもしれません。

そこで後悔をきっかけに、鏡の前でデンタルフロスを使う練習を始めました。
最初は手こずりましたが、骨折中は意外と時間があるので、トレーニングのつもりで少しずつ慣れていくのがおすすめです。
▶ 利き手の右手が使えない時の便利グッズ8選
↑こちらでも紹介していますが、電動歯ブラシはあくまで「補助」。
細かいケアができない状態だからこそ、意識的な対策がもっと必要だったと今は思います。
さらに、デンタルフロスは虫歯予防に欠かせない便利アイテム。
Y字タイプがおすすめ! |
電動歯ブラシや小型ミラーだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシも虫歯予防には欠かせない存在です。

正しい使い方については、日本歯科医師会のセルフケア情報にも詳しく紹介されています。
出典:日本歯科医師会
「後回しにしなければよかった…」とならないためにも、左手でもデンタルフロスのトレーニングを今から少しずつでも始めるのがいいと思います。
② 栄養バランスの乱れと、私が選んだ“補い方”
自炊は続けていたけれど、手軽な食事が増えた

骨折してすぐの頃は、片手での料理にとても苦労しました。
利き手が使えない状態で包丁を持つのも大変。でも、私はできる限り自炊を続けたい派だったので、工夫しながら乗り切っていました。
とはいえ、どうしても簡単に作れるものや、手間のかからない食事が多くなっていたのは事実です。
以前のように、煮物や炒め物を何品も作るのは難しく、ごはん+具だくさんのお味噌汁、乾燥野菜などを組み合わせての“シンプルごはん”に切り替えていました。
パンはあまり買いませんが、おにぎりやお惣菜に頼る日もたまにはあって。
「きちんと食べている」と思っていたものの、あとから思うと“骨密度を高める栄養”まで意識が向いていなかったことに気づきました。
カルシウム不足やたんぱく質不足が、回復に響く?
骨密度という言葉を意識するようになったのは、骨折してからしばらく経ったころ。
骨は時間が経てば自然にくっつくと思っていたけれど、右手はいまだに完全には戻っていません。
「ぐー✊ができない」「指がまっすぐにならない」…そんな状態が続いていて、自力でのリハビリにも限界を感じていました。
そのときに気がついたのは、「栄養も回復に大きく影響する」ということ。
特に、カルシウム・ビタミンD・たんぱく質など、骨や筋肉をつくる材料が不足していると、治りが遅くなることがあるのだそうです。

「野菜はしっかり食べていたけれど、カルシウムは足りていたかな…」と、ちょっと反省。
カルシウムやビタミンDなど、骨の回復に必要な栄養素については、e-ヘルスネット|骨粗鬆症とカルシウムのページも参考になります。
「骨折は時間が治す」と思われがちですが、実は食事も大きな回復要因になるんですね。
出典:「骨粗鬆症の予防のための食生活」(厚生労働省健康づくりサポートネット)
手軽に食べられる栄養で、体の中から整える

そこで意識するようになったのが、「骨のための栄養補給」。
豆乳、チーズ、ヨーグルト、しらす干しなど、片手でも食べやすく、カルシウムが豊富な食材を取り入れるようにしました。
おやつにはレーズンやミックスナッツを常備。手軽に食べられて、鉄分やマグネシウムなども摂れるのでお気に入りです。
▶ レーズン鉄分の食べ方 ←こちらの記事でも詳しく書いています。
60歳手前の今、「歳だから…」とあきらめる前にできることを少しずつ増やしていくようにしています。
自分の体と向き合ういいきっかけになったのかもしれません。
ちなみに、レーズンやアーモンドに含まれる鉄分やカルシウムの量などは、日本食品標準成分表で詳しく確認できます。
食べる内容を少し意識するだけでも、日々の変化につながっていきますよ。
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)文部科学省ホームページ
③ 利き手が使えない時に役立った便利グッズと片手生活の工夫
片手でもできる工夫で、日々をラクに
骨折して間もないころは、「元どおりになるまでの辛抱」と思っていました。
けれど、1年経っても完治しない現実に直面した今、「無理しすぎず、ラクできるところはラクをしよう」という考えに変わりました。
日常のちょっとした動作――歯みがき、料理、買い物、洗濯――すべてが片手では時間も体力もかかります。
そんな私を助けてくれたのが、“片手でも使いやすい便利グッズ”たちです。
たとえば、ワンタッチで開閉できるボトルや、滑り止め付きのキッチンツール、片手ドライヤーができるスタンドなど。
どれも「こんな小さなことで、こんなにラクになるの?」という驚きがありました。
▶ 片手生活を乗り越えた便利グッズと毎日をラクにする知恵まとめ
こちらの記事でも詳しく紹介していますが、便利グッズは「サボるため」じゃなくて、「大事な力を温存するため」なんです。
「ぐー✊」ができない今でも、自力でリハビリ

私は今も、右手の指が完全には閉じられず、ぐー✊ができません。
指は少し曲がったままで、まっすぐに伸ばそうとすると痛みが残ります。
でも、できる範囲で動かしながら、自分なりにリハビリを続けています。
お風呂の中で温めながら「ぐっぱ体操」をしたり、指をまっすぐに伸ばす運動をしたり。
痛みが強い日は無理をせず、マッサージだけでもOKと決めて、毎日続けています。
骨折経験者たちに聞いたところ、わたしは2年、わたしは5年かかったと聞きました。
年齢的に回復はゆっくりだけれど、「完全に戻らなくても、今より少しでも良くなればいい」と思ってやっています。
「備え」としてのケアアイテムを持つ安心感
骨折後、虫歯や疲れ、指の痛みなどいろんな不調を経験して、「今元気でも、“ちょっとした備え”はあったほうがいい」と思うようになりました。

たとえば、以下のようなものをいつもそばに置いています:
- 歯ブラシ+デンタルフロス+折りたたみコップ(うがいだけでもできるように)
- ナッツ類(忙しい日・食欲がない日の備えに)
- 小型の保冷バッグとスプーン(外出時におにぎりやヨーグルトを入れて持参)
こういうものがあるだけで、「今日は片手がつらいな…」という日でも少し安心できるんです。
「回復まで頑張る」だけじゃなく、「頑張れない日をラクにする準備」も同じくらい大切だと、1年たった今は思います。
④ 歯医者通いで得た“セルフケア”の意識
「見えないところこそ、大事にしたい」
骨折中に行けなかった歯医者さん。
久しぶりの診察で6本もの虫歯が見つかり、ショックというよりも「自分を放っていたんだな」と反省しました。
歯って、毎日使っているのに、見えない部分の変化には気づきにくい。
だからこそ、「不調がないときからちゃんとケアしておくことの大切さ」を改めて感じました。
歯だけじゃなく、体の内側や気持ち、骨の状態、筋力の低下なども同じ。
外からは見えないけれど、きちんと向き合うべき場所がたくさんあるんですよね。

毎日の“ちょっとした習慣”が、自分を守ってくれる
それ以来、私が心がけているのは「小さなセルフケアを、無理なく、続けること」。
たとえば――
- 歯みがき後に鏡でチェック
- デンタルフロスを使う
- アプリで体調を記録(体重・食事・歩数など)
- 毎日1回は“指のリハビリ”時間をつくる
どれもたいしたことではありませんが、「自分の今を確認する時間」を持てることで、安心感が生まれました。
歳を重ねるごとに、「今の自分をメンテナンスしながら暮らす」って大切なんだと実感しています。

ラクに・気楽に・自分らしくケアを続けていく
一時期は「元に戻らない指」に落ち込むこともありましたが、今は「できることからやればいい」と思えるようになりました。
“完璧にケアしなきゃ”と気負うよりも、「今日はここだけ」「できなかったら明日やる」くらいの気持ちで。
ラクに続けられる方法を見つけることが、結果的に長く続くケアにつながっていくんだと、今は思っています。
誰かに迷惑をかけないように…と無理をするのではなく、
「自分が心地よく暮らすための選択」としてセルフケアを捉え直すようになりました。
骨折して気づいたのは、そんな“暮らしの視点の変化”だったのかもしれません。

【まとめ】利き手が使えない暮らしは不便。でも工夫でラクになる
利き手を骨折してから、1年が経ちました。
今も右手の指はまっすぐには戻らず、完全には回復していません。
「ぐー✊ができない」「歯みがきが難しい」「料理も片手」――そんな日常を、少しずつラクにしてくれたのが“便利グッズ”と“気づき”でした。
歯のケアをおろそかにして虫歯ができてしまったこと、栄養が偏って回復が遅れたかもしれないこと。
そのすべてを「後悔」ではなく、「これからに活かす材料」にできるようになったのは、日々のセルフケアのおかげです。
このブログでは、実際に私が使って良かったアイテムや工夫も紹介しています。
▶ 利き手の右手が使えない時の便利グッズ8選
同じように利き手が使えないことで悩んでいる方に、
「あなたの毎日も、少しずつラクにできるよ」と伝えたい。
そんな想いをこめて、この記事を締めくくりたいと思います。
