利き手を骨折して料理ができないときの食事|子育て中ママの“作らない日”と片手で乗り切る工夫

利き手を骨折して右腕をギプスで固定したしおりが、朝の光の差し込む部屋でみいちゃんを左腕でそっと抱き寄せ、静かに目を閉じて気持ちを整えている様子 骨折と暮らしの工夫
「今日は無理して作らなくてもいいよね。」 包帯の右手を休ませながら、子どもの温もりに救われる朝。
この記事は約13分で読めます。
スポンサーリンク

しおりの朝 ― “できない” ではなく、今日を生きるために

右手を固定したまま迎えた朝は、今日で何日目になるのか。
ベッドの端で深呼吸したあと、しおりはゆっくり立ち上がった。

隣では、1歳のみいちゃんが布団の中で「まーま…」と小さく伸びをする。
その声が可愛くて、胸がぎゅっと温かくなるのに、同じくらい切なくなった。

「ごめんね、今日は抱っこがゆっくりしかできないの。」

そう言いながら、左手だけでそっと抱き上げる。
右手にはまだズキズキする痛みが残っていて、ギプスの重みが肩にのしかかる。
みいちゃんは、しおりの体の傾きを感じ取ったのか、ぎゅっと服を掴んだ。

朝の深呼吸は、小さなリセット。
包帯の右手をそっと休ませながら、“今日を生きるための勇気”を吸い込む時間。

あぁ、こんな朝は本当に胸が痛い。

キッチンに立っても、コップひとつ取り出すのに時間がかかる。
いつもなら何も考えずにできた動作に、ひとつひとつ“段取り”が必要になる。

「右手が動かないと、こんなに遅くなるんだ…。」

自分の“できなさ”を一つ思い知るたびに、深く息を吐いてしまう。

簡単にトーストを焼いて、インスタントのスープを注いで、
みいちゃんにはパウチの離乳食を準備する。
たったそれだけなのに、肩で息をしている自分に気づく。

「私、今日もちゃんとやれるかな…。」

心の奥でそんな不安が、じわっと溶けて広がっていった。

📒骨折中の食事全体の流れや、今回の記事以外の工夫もまとめて読みたい方は、先に
骨折中の食事がつらいあなたへ|片手でできる工夫・サポート・状況別の乗り切り方まとめ
もあわせてチェックしてみてください。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

利き手を骨折すると料理がほぼできない理由 ― 母親の罪悪感は静かに積もる

午前の光がリビングのラグを照らす。
その穏やかな景色とは裏腹に、しおりの心は落ち着かなかった。

みいちゃんを遊ばせながら、
「そろそろお昼、何にしよう」と考えはじめる。
でも、キッチンへ足を向けた瞬間、胸の奥で“ため息”が先に生まれた。

右手が使えない。
それだけのことなのに、料理という作業のほとんどが止まってしまう。

包丁が持てない → “切る工程”が完全に止まる

右手を厚いギプスで固定したしおりが、包丁を使えずに切り物をあきらめてキッチンで立ち尽くしている様子。右手は体の横で完全に空のまま。
「包丁って…こんなに“右手”が必要だったんだ。」
できないことが増えていく現実に、しおりはそっと息をのみました。

骨折をする前は、
「簡単な料理なら片手でもできるでしょ」
とどこかで思っていた。

でも現実は、全然違った。

右手で包丁を持とうとすると痛みで力が入らない。
左手に持ち替えたところで、まな板を押さえることも、食材をしっかり掴むこともできない。

にんじんを半分に切ろうとして、
ぐらり、と包丁が滑りかけた瞬間、
しおりの背筋に冷たいものが走った。

「あ、これ、危ないレベルなんだ。」

そこで初めて、
“切る工程がゼロになる”ことの重さを知る。

冷蔵庫を開けて野菜を見ても、
しおりにはただの“手の届かない存在”に感じられた。

「あるのに使えない」
それが、じわじわと心を追い詰めていく。

鍋やフライパンを持つことが怖い

右手をギプスで固定したしおりが、火を使っていない鍋を左手だけでそっと触れ、不安そうに見つめている様子。
「片手じゃ落としそうで怖い…。」
できないことが増える不安と、慎重に向き合う朝。

切ることができないなら、
せめて炒め物やスープだけでも、と考える。

でも、片手で鍋やフライパンを持ち上げようとした瞬間、
中身が傾いて、熱い汁が一気に偏る。

「こぼれたらどうしよう…。」

油がパチッと弾けただけで、心臓が跳ねるほど怖い。
右手をかばうように身体をそらすから、なおさらバランスが悪くなる。

火をつけるだけで、
「本当に今、私がやるべきことなのかな…」と不安になる。

「やっぱり…無理だよね…。」

しおりの胸には、“できない自分”への悔しさと、
それでも何とかしようとする自分への哀しさが、じわっと混ざり合っていった。

子育て中の片手調理は、もっと危険

キッチンへ向かって歩くみいちゃんを、しおりが左手だけで止めようとし、右手のギプスは体の横で動かせないままの様子。
片手じゃ追いつかない瞬間がある。
子育て中の “危険はすぐそこ” を痛感したひとコマ。

みいちゃんは歩き始めたばかり。
興味の向くままに、「まま〜?」とキッチンにも近づいてくる。

コンロの前に立っているときに、
足元へトコトコ歩いてこられると、
「危ないから来ちゃダメ!」と声を荒げたくなる。

でも、その声の強さに、自分でハッとする。

「本当は、そんな言い方したいわけじゃないのに…。」

右手でサッと抱き上げることもできない。
熱い鍋を持った片手のまま、子どもを制止しようとするのは本当に危険だ。

“危ない”という気持ちがいつも先に立ってしまい、
料理をしようとする気持ちは、自然と後ろへ下がっていく。

公園でこぼれた涙

お昼が近づくころ、
しおりは気分転換を兼ねて、みいちゃんをベビーカーに乗せて公園へ向かった。

秋の風が頬をなでていく。
落ち葉を踏む音が、かさかさと小さく響く。

公園につくと、みいちゃんはうれしそうにベビーカーから身を乗り出して、
「おりる!」と訴えた。

ベンチに腰掛けて、そっと降ろす。
右手をかばいながら、左手だけで支えるのはやっぱり怖い。
それでも、地面に立ったみいちゃんは、落ち葉を拾ってニコニコ笑った。

「きれー!」

その笑顔がまぶしくて、かわいくて、
だけど、ふいに胸がぎゅっと締めつけられる。

さっきまでキッチンで感じていた“できなさ”と、
「ちゃんとしたごはん作れてないな」という後ろめたさが、
一気に押し寄せてきた。

ベンチに座ったまま、ふっと視界がにじむ。

「私、ぜんぜんできてないな…。
母親って、もっとちゃんとごはん作って、
もっとテキパキ動ける人じゃなきゃいけないのに…。」

秋の公園のベンチで、右手をギプスで固定したしおりが、左手で目元の涙をそっとぬぐいながら、落ち葉を拾って笑うみいちゃんを見つめている様子。
落ち葉を拾って「みて〜!」と笑うみいちゃん。
ベンチのしおりは、その笑顔に救われながらも、
「ちゃんとできていない自分」が悔しくて、マスクの中でそっと涙をぬぐった。

みいちゃんは、そんな母の気持ちなど知らない様子で、
小さな手に葉っぱを集めて「みて〜!」と笑っている。

その姿が愛おしくて、
でも自分が情けなくて、
こらえきれずに、涙がひと粒こぼれた。

マスクの中で、そっと拭う。

「あ、いけない。公園で泣くなんて。」

そう思いながらも、
胸の奥では“ひとりぼっち”の気持ちが、静かに膨らんでいた。

夫とのすれ違い ― 「大丈夫」としか返せない

公園からの帰り道、スマホが震えた。
夫からのメッセージだった。

「今日、何かいるものある?」

短い文章。
仕事の合間に、時間を縫って送ってくれたのだと思う。

公園のベンチでスマホを握るしおり。ギプスで固定した片方の手は膝の上で空のまま、ベビーカーの中のみいちゃんのそばで「大丈夫」と打ってしまった自分に、涙をこらえている表情。
本当は「しんどい」と送りたいのに、指が勝手に「大丈夫だよ」と打ってしまう。
誰にも迷惑をかけたくない気持ちが、しおりの胸をまた少し重くした。

本当は、
「しんどい」
「ごはん作れそうにない」
「助けてほしい」
そう書きたいのに、指は勝手にこう打っていた。

「大丈夫だよ、ありがとう。」

送信ボタンを押した瞬間、胸がチクリと痛くなる。

平気じゃない。
全然平気じゃないのに、「大丈夫」としか言えない自分。

“こんなこと、夫にまで心配かけたくない”
“迷惑かけてるって思われたくない”

いろんな言葉がぐるぐる回って、
またひとつ、しおりの心に重りが増えた気がした。

料理できない日は“作らない作戦”でいい ― 心がほどけた夜

その日の夜。
キッチンの前まで行ったところで、しおりの足が止まった。

右手の痛み、
昼間から続く疲れ、
みいちゃんの「おなかすいたー」という声。

すべてが一気に押し寄せてきて、
一歩を踏み出す力が抜けてしまった。

「今日、作れない…。」

はじめて、自分に向かってそう認めた瞬間だった。

不思議なことに、その言葉を飲み込んだあと、
胸の中に溜まっていた重たい空気が、少しだけ外へ抜けていった気がした。

切らない・火を使わない“そのまま食材”で自分を助ける

しおりが左手でバナナを手に取り、テーブルにはそのまま食べられる食材(ヨーグルト・豆腐・冷凍うどん)が並んでいる。右手は包帯で固定され、そっと膝に置かれている場面。子どもが横で安心した表情で見ている。
切らない・火を使わない“そのまま食材”が、しおりの毎日をそっと支えてくれる。
右手を休めながら過ごす日でも、こうした小さな工夫が心を守ってくれる。

しおりは、いったんコンロから目をそらし、冷蔵庫の中を見つめた。

冷凍うどん、バナナ、ヨーグルト、豆腐。
温めるだけの離乳食。
そのまま食べられる納豆やしらす。

それらが、今までは「手抜きの象徴」に思えていた。
でも今は違う。
“作らないと決めた日でも、なんとかしてくれる味方”に見えた。

「これなら、私にもできる。」

包丁も火も使わずに出せるものたち。
それらをテーブルに並べながら、
しおりの中で「がんばらないといけない」が、少しずつほどけていく。

📒包丁や鍋を安全に使うのが難しい時期は、道具の力を借りるのも大きな助けになります。
具体的なアイテムの例は、
【骨折経験から学ぶ】利き手の右手が使えない時の便利グッズ8選
でくわしく紹介しています。

離乳食パウチを使った日も“いい日”として認める

左手だけで離乳食パウチを開け、喜ぶみいちゃんに見せるしおり。右手は包帯で固定され、太ももの上に休ませている。
手作りじゃなくてもいい。“喜んでくれた”その瞬間が、今日の十分な合格点。

みいちゃんには、パウチの離乳食を温めて、お皿に移した。
「ごめんね、今日も市販だね」と心の中でつぶやきながら、
スプーンを一口。

「あむっ!」

みいちゃんの目がまんまるになって、
次の瞬間、にこーっと笑った。

「おいしいね〜!」

その笑顔を見ただけで、
しおりの胸の奥がふわっと温かくなった。

「手作りじゃなくても、こんなに喜んでくれるんだ…。」

そのとき初めて、
“市販に頼る自分”を責めなくてもいいのかもしれない、と感じた。

「今日は、これでいい。
みいちゃんが笑っているなら、それでいい。」

そう思えたことが、
しおりにとっての大きな一歩だった。

自分の食事は“倒れないための最低限”でOK

右手をギプスで固定したしおりが、テーブルに並んだおにぎり・カップスープ・バナナを見つめ、左手だけでバナナにそっと手を伸ばしている様子。
「おにぎり1つ・スープ1杯・バナナ1本。これだけ食べられたら、今日は合格。」
倒れないための“最低限”が、しおりの新しいルールになった。

ふと、自分の分を見ると、
テーブルの端にはコンビニおにぎりとカップスープが置いてある。

骨折直後の数日は、
自分の食事をつい後回しにして、気づいたら何も食べずに夜になっていた。
そのたびに頭がガンガンして、立っているだけでふらついた。

「私が倒れたら、みいちゃんがもっと困る…。」

そう思った日以来、しおりは自分にルールを決めた。

  • おにぎり1つ
  • スープ1杯
  • バナナ1本

これを食べられたら“合格”。
豪華じゃなくていい。
最低限、体が動く栄養を入れてあげる。

それだけで、
「何も食べられなかった自分」を責める時間が減った。

「今日は作らない」と決めたうえで、片手でも回しやすくする準備や姿勢の工夫については、
利き手を骨折して食事がつらいときの工夫|片手でできる準備・姿勢・サポートまとめ
に、もう少し実践的なポイントをまとめています。

夫に頼れた日の涙

仕事帰りのゆうたがコンビニ袋を差し出し、右手をギプスで固定したしおりが、左手だけでそっと受け取ろうとして涙ぐんでいる夜の玄関シーン。
「なんで謝るの? いまは無理しなくていいよ。」
コンビニ袋ひとつの優しさに、しおりの目からそっと涙がこぼれた。

しおりとみいちゃんが食事を終えて、
片付けをどうしようかと悩んでいたころ、玄関のドアが開いた。

「ただいま。」

夫の声がする。
仕事からの帰り道、少し早足で帰ってきたのだろう。
手にはコンビニ袋がぶら下がっていた。

「これ、買ってきた。
しおりが片手でも食べやすそうなの、店員さんと相談して。」

袋の中には、スプーンで食べられる丼ものや、
やわらかいおかず、カットフルーツが入っていた。

その光景を見た瞬間、
しおりの目に、じわっと涙がにじむ。

「ありがとう…でも…ごめんね…。
こんなに頼ってばかりで…。」

感謝と申し訳なさが混ざった言葉が、ぽろっとこぼれた。

夫は少し戸惑ったように目を泳がせながらも、
いつもよりゆっくりした口調で言った。

「なんで謝るの?
いまは無理しなくていいよ。
頼ってくれたほうが、俺は安心する。」

不器用な言葉。
でも、そのまっすぐさが、しおりの胸に深く届いた。

「…ありがとう。」

声に出した瞬間、こらえていた涙が一粒、テーブルに落ちた。

その夜、しおりの中で
“作らない日を選ぶこと”と
“誰かに頼ること”が、少しだけ許せるものに変わっていった。

子育て家庭ならではの“片手で乗り切る工夫”

ギプスで固定した片方の手をテーブルの端にそっと置き、もう片方の手にタオルを持ったしおりが、両手を広げてごはんを待つみいちゃんをやさしく見守っている朝ごはんのシーン。
「こぼしてもいいよ。」
そう思えるようになってから、朝の食卓は少しあたたかくなった。

「作らない作戦」を知ってから、
しおりの日常は少しずつ変わり始めた。

完璧を目指す代わりに、
“今日をどう乗り切るか”を考えるようになった。

朝、みいちゃんがスプーンを持って
「じぶんで!」と言い出した日。
こぼしながら食べる姿に、かつてならイライラしていたかもしれない。

でも今は違う。

「そうだよね、みいちゃんも“できること”を増やしたいんだよね。」

そう思えるようになった。

片手ママの“ちょっとラクになる工夫”

すべり止めマットの上に深めのボウルやフタ付き容器を並べ、左手だけで位置を整えるしおり。右手はギプスで固定され、テーブルの端で休んでいる。
特別な道具じゃなくていい。
“片手でもぶつからない・こぼれにくい”ように整えるだけで、毎日が少しラクになる。
  • すべり止めマットをテーブルに敷く
     → 片手でも食器が動きにくくなり、よそいやすい。
  • 片手で持ちやすい深めのボウル皿に統一する
     → スプーン1本で完結しやすく、洗い物も減る。
  • フタ付き保存容器を“器”として使う
     → 残った分はそのまま冷蔵庫へ。移し替え不要。
  • 電子レンジをフル活用する
     → ゆでる/温める/蒸すをレンジで完結。火の前に立たない。

どれも特別なことではないけれど、
「少しでもラクに」「危なくないように」を意識するだけで、
しおりの負担は前より確実に減っていった。

子どもの“お手伝いごっこ”に救われる日もある

右手をギプスで固定したしおりが、片方の手に布巾を持ってテーブルを拭きながら、両手で小さな布巾を握って「ふきふき」するみいちゃんを見てほほえんでいる様子。
「みーも、ふきふき〜。」
なんちゃってお手伝いに、しおりの肩の力がふっと抜けた。

ある日、しおりが左手だけでテーブルを拭いていたら、
みいちゃんが小さな布巾を持ってきて、
「みーも!ふきふき!」と言い出した。

テーブルの端をちょんちょんと叩くだけの“なんちゃってお手伝い”。
でも、その姿に肩の力がふっと抜ける。

「ありがとう、助かるなぁ。」

そう口に出した瞬間、
自分の表情が少し柔らかくなったことに気づいた。

片手でできないことも多い。
でも、親子で“できること”を増やしていく時間は、
しおりにとって小さな救いだった。

📒「いまこの瞬間を乗り切る」だけでなく、片手生活が少し長く続きそうなときに役立ったグッズや考え方は、
【右手骨折その後】片手生活を乗り越えた便利グッズと毎日をラクにする知恵まとめ
にまとめています。

📒「今日は作らない」と決める日があっても、長い目で見ると“少しずつ骨の回復を助ける食事”も心の支えになります。
骨折からの回復に意識したい食材やメニューの選び方は、
骨折を早く治す食事|右手が使えない日でも食べやすい“治癒を助ける食材と選び方”まとめ
でくわしくまとめています。

💡骨の回復を支える栄養素(カルシウムやビタミンDなど)については、
公的機関の情報として 厚生労働省「カルシウム の解説ページも参考になります。(出典:厚生労働省健康づくりサポートネット)

夜の小さな灯り ― 今日を生きた自分に“合格”をあげる

その日の夜。
みいちゃんは布団の中で、すやすやと寝息を立てていた。
小さな手が、まだ少しだけママのほうへ伸びている。

リビングでは、夫が食器を片付けている音がする。
カチャカチャという響きが、家の中に静かに広がっていく。

キッチンの小さなライトだけがついていて、
部屋の隅にやわらかい影が揺れていた。

夜のリビングでひと息つくしおり。包帯した右手をそっと膝に置き、小さな灯りに照らされながら「今日の私は合格でいい」と自分を励ます静かなシーン。
「今日の自分に、そっと“合格”をあげる夜。」
忙しさや不安の中でも、しおりは小さな灯りの下で自分を認める時間を取り戻していく。

しおりはソファに腰を下ろして、
固定された右手をそっと膝の上に置いた。

朝は「できるかな」と不安だった。
公園で涙をこぼした。
「大丈夫」と言いながら、ぜんぜん平気じゃなかった。
夜には「今日は作れない」と認めた。
それでも、みいちゃんは笑って、ごはんを食べて、今はぐっすり眠っている。

「…今日の私は、合格でいいよね。」

骨折ぱせりん

誰に聞かせるでもない、静かな独りごと。
でも、その言葉を口にした瞬間、胸の奥がじんわりあたたかくなった。

そのとき、心の中で、ぱせりんがそっと隣に座るような気配がした。

「しおり、そしてこの文章を読んでくれているあなた。
今日できなかったことより、
“向き合った気持ち”のほうを、ちゃんと自分にあげてほしい。

泣きたくなったり、投げ出したくなったりしながらも、
それでも今日という一日をここまで運んできた。
それは誰が何と言おうと、すごいことだよ。」

しおりは目を閉じて、深く息を吸い込んだ。
ギプスはまだ重い。右手はまだ自由じゃない。
明日もきっと、大変なことはたくさんある。

それでも——
今日を生きた自分を、ちゃんと認めることができた。

「明日も、できるところまででいい。
がんばりすぎずに、がんばろう。」

小さな灯りの下でそうつぶやき、
しおりはそっと立ち上がって、寝室のドアを開けた。

そこには、安心しきった顔で眠るみいちゃんがいる。
その姿を見た瞬間、また少しだけ、明日への力が湧いてくるのだった。

ぱせりんが読者に感謝している